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事業承継補助金はいつから利用できる?制度の詳細と申請の流れ

事業承継補助金は、既存の企業を引き継ぐ際に利用できる補助金制度です。

すでにある企業を引き継ぐ場合、簡単には出来ません。

個人事業主が事業承継するなら、一度廃業したあと同じ屋号で開業すると事業承継、法人の場合、相続や生前贈与で事業承継とします。

上記は親族間で事業承継をする場合で、親族以外に承継するときはさらに違った手続きが必要です。

手続きの面倒さももちろん、事業承継や承継後の事業展開にあたりお金がかかります。

この記事では、事業承継時に利用できる補助金について詳しく紹介します。

事業承継を予定している人や、金銭的な問題で事業承継を諦めていた人はぜひ参考にしてください。

目次

令和4年度に利用できるのは事業承継・引継ぎ補助金

事業の承継にかかる費用をサポートしてくれる制度は、以前「事業承継補助金」という制度名で展開されていました。

現在は、「事業承継・引継ぎ補助金」に変更されています。

制度名は変わっていますが、補助金の内容や目的に大きな変更点はありません。

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業庁が展開している補助金制度。

事業承継を機に新しい事業にチャレンジする中小企業や、事業再編・統合に伴う資金の引継ぎをする中小企業をサポートする目的で運営されています。

名前の通り、事業承継・引継ぎ補助金は既存の企業を受け継ぐ際に利用できる補助金です。

現在、既存企業が資金難や人材枯渇を理由として廃業を余儀なくされています。

特に、高齢者が後継人を見つけられず廃業するケースが多いです。

後継者不在率のグラフ
引用:中小企業庁

上記のグラフは、後継者不在率を年代別にグラフ化したものです。

70代でも40%以上の人が後継人を見つけられず、80代も30%の人が後継人なしの状態で経営を続けています。

後継人を見つけられないまま年齢的な限界を迎えると、廃業を選択するしかありません。

廃業となった企業の中には、地域で需要が高い企業や、貴重な技術が失われる場合も少なくないでしょう。

また、企業が廃業すると、その分雇用が失われるきっかけにもなります。

こうした雇用機会や技術の損失を防ぎ、地域の経済を活性化させるために用意されているのが事業承継・引継ぎ補助金です。

事業承継・引継ぎ補助金には、大きく分けて3つの類型があります。

事業承継・引継ぎ補助金の類型
  • 経営革新事業
  • 専門家活用事業
  • 廃業・再チャレンジ事業

それぞれの事業ごとに、利用できる対象者や補助金の限度額が変わります。

自分がどのような事業承継を行うのか整理した上で、利用できる類型を選びましょう。

詳しくは後述しますが、事業承継・引継ぎ補助金は親族内での承継、個人事業主の承継にも利用可能です。

事業承継を機に新たな挑戦を行う人は「経営革新事業」

既存企業の承継を機に経営革新を行う際に必要な費用を補助してもらえるのが、経営革新事業です。

経営革新事業は、さらに以下の3つに分類されます。

Ⅰ型:創業支援型

中小企業の創業、または個人事業主として開業する際に利用できる補助金です。

創業にあたり、廃業予定の人から株式や事業を譲渡してもらう人が利用の対象となります。

経営資源や従業員を引き継いだ上で、新しく創業する人向けの補助金です。

例えば、廃業予定のパン屋から設備や店舗、従業員を引き継いで新しくパン屋を創業する場合に使えます。

設備を初めから用意する必要がなく、従業員も引き継げるので、創業時の負担も減らせるでしょう。

Ⅱ型:経営者交代型

事業の内容はそのままに、代表者を交代する場合に使える補助金です。

親族内承継や従業員承継を行い、事業再生を伴うものに適用されます。

例えば現在の事業代表者が年齢を理由に引退、その子どもが事業を承継し、代表になるときに利用可能。

ただし、承継者は誰でもいいわけではありません。

産業競争強化法に伴う、特定創業支援事業を受ける人など、経営の知識や実績が求められます。

Ⅲ型:M&A型

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略称です。

意味は「合併&買収」、つまり企業の合併買収を指す言葉で、複数の企業が1つになる、既存の企業が他社を買収する場合に使われます。

企業を合併・買収すると、経営革新や事業の再編が行われます。

M&Aでも補助金を利用できる理由は、経営革新や再編を伴うM&Aの場合、事業承継・引継ぎ補助金の目的である経済の活性化が望めるためです。

Ⅲ型でもⅡ型と同じように、ある程度経営の知識や実績がなければ補助金の対象とならないので注意しましょう。

経営革新事業では、以下の条件で補助金を受け取れます。

補助率 3分の2まで
補助上限 600万円以内
補助対象経費 設備購入費用、人件費、店舗・事務所の改築工事費用等

最大で600万円まで補助を受けられますが、事業承継にかかった金額の3分の2までしか補助されません。

例えば事業承継にかかって費用が600万円だった場合、3分の2にあたる400万円が上限です。

補助率と補助上限のうち、いずれか低い方が受け取れる補助金の最大金額となります。

引継ぎ時に専門家を利用するなら「専門家活用事業」

事業承継時、専門家を挟んで手続きを行う場合があります。

書類の作成や補助制度の申請、事業内容の見直しを個人で行うのは簡単ではありません。

多少お金をかけてでも、専門家にコンサルティングしてもらった方がいい場合も多いです。

事業承継にあたり必要になった専門家に関する費用を補助してくれるのが、専門家活用事業です。

専門家活用事業も、以下2種類に分けられます。

Ⅰ型:買い手支援型

買い手支援型は、事業を引き継ぐ側の人が利用できる補助金です。

事業を引き継いだあと、以下2点の要件をクリアできるのが利用の条件。

  • 事業再編、統合によって経営資源を譲渡された後、シナジーを活かした経営革新が見込まれる
  • 事業再編、統合によって経営資源を譲渡された後、地域の雇用や地域経済の牽引が見込まれる

参照:事業承継・引継ぎ補助金

要するに、専門家にコンサルティングしてもらった内容を活かして、地域に根付いた経営を行う必要があります。

経営計画が適当だったり、地域と一切関わりを持たない経営だと利用できない可能性があるので注意しましょう。

Ⅱ型:売り手支援型

Ⅱ型は逆に、事業を承継してもらう(譲り渡す)側の企業が利用できる補助金です。

企業承継後、第三者によって地域の雇用や地域経済の牽引が見込める場合にのみ利用できます。

事業を譲渡するにあたり、手続き面でサポートを受けたい人が利用可能です。

専門家活用事業の利用条件は以下のとおりです。

補助率 3分の2まで
補助上限 600万円以内
補助対象経費 M&A支援事業者への手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用、セカンドオピニオン等

ただし、M&A支援事業者への手数料は利用できる範囲が決まっています。

M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー、M&A仲介業者によるファイナンシャルアドバイザー、M&A仲介費用のみです。

利用範囲が分からない人は、申し込みの段階で利用予定のサービスが補助金の適用内かを必ず確認しておきましょう。

デューデリジェンスとは、投資を行う時に投資先企業の価値やリスクを調査することです。

事業承継後、投資予定がある人は利用する機会があるでしょう。

広い範囲で専門家を活用する費用として利用できるので、資金面で専門家への相談をためらっている人はぜひ活用してください。

引継ぎ後に廃業を予定している人は「廃業・再チャレンジ事業」

既存の事業をそのまま引き継ぐのではなく、引き継いだ上でさらなる発展のため廃業をする人も少なくありません。

事業を廃業した上でノウハウを活かし、新しい事業にチャレンジする人は「廃業・再チャレンジ事業」が利用できます。

廃業・再チャレンジ事業は、以下4つのパターンに分けて申請を行います。

事業承継、M&Aで事業を譲り受けた後に廃業する 事業承継により、事業を譲り受けた中小企業者が、新しい取り組みを実施するために既存の事業や譲り受けた事業の一部を廃業する
M&Aで譲り受けた際に廃業する M&Aにより、事業を譲り受けた中小企業者が、新しい取り組みを実施するために既存の事業や譲り受けた事業の一部を廃業する
M&Aで譲り渡した際に廃業する M&Aにより事業を譲り渡す中小企業が、手元に残った事業を廃業する
M&Aで譲り渡せなかった事業の廃業・再チャレンジ M&Aにより誰にも譲り渡せなかった事業を持つ中小企業が、新しくチャレンジするために既存事業を廃業する

参照:事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)

難しく感じますが、簡単に言うと「なぜ廃業するのか」「廃業するタイミングはいつか」が分かっていればOKです。

基本的に、事業の権利を持っている人が廃業時に受け取れる補助金。

事業を譲り渡したあと、譲渡先の人が廃業した場合、補助金を受け取れるのは譲渡先です。

廃業のタイミングも承継時に細かく決めておきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金はネットからの申請必須!実際の申請フローを紹介

公的な補助金は市役所や商工会議所に行き、細かい書類手続きが必要なイメージがあります。

しかし事業承継・引継ぎ補助金の申請は、基本的にネットから行わなければなりません。

事業承継・引継ぎ補助金では、「jGrants(ジェイ・グランツ)」という補助金の電子申請システムを利用します。

jGrantsに利用には、「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。

gBizIDプライムのアカウントを作るには1~2週間かかるため、申請期間ギリギリにアカウントを新規作成しても間に合いません。

最低でもgBizIDプライムのアカウントは早めに作成しておきましょう。

各補助金の募集開始日はまばらですが、年度初めての酵母は大体毎年4~5月に行われます。

3月中にアカウントの発行を行っておくのがおすすめです。

ただし、事業承継・引継ぎ補助金は申請期間が4回も受けられているため、そのうちいずれかに申し込みできればOKです。

1度目の公募に間に合わなかった人は、次回の公募を目指して準備しておきましょう。

おおまかに、事業承継・引継ぎ補助金の申請フローをご紹介します。

以下のスケジュールは、専門家活用事業の申請フローです。

時期 スケジュール内容
2022年4月22日~5月31日 申請受付
7月中旬~下旬 交付決定
交付決定日~2023年3月31日まで 事業実施期間
※この間、遂行状況の報告が必要です
交付決定日~2023年2月中旬 実績報告期間
2月中旬~3月下旬(目安) 交付確定通知、補助金申請
2023年4月下旬 補助金交付
2023年5月~ 後年報告

こうして見ると分かる通り、補助金の交付は申請の約1年後。

補助金は基本的に後払いなので、事業継承にかかる費用はまず自分で支払わなければなりません。

その後実績が認められればはじめて交付されるので、ある程度初期費用は自分で用意しておきましょう。

1年以上かかる長期的な手続きが必要なため、忘れずこまめに手続きの確認を行うのをおすすめします。

実際に事業承継補助金を利用した事例

「自分の事業承継が対象となるか分からない」「事業承継のイメージが湧かない」といった人もいます。

数は少ないですが、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで、実際に補助金を利用した事例を確認可能です。

例えば、以下のような事例が掲載されています。

新型コロナウイルスの影響で利用者が減った耳鼻科近くの薬局を、整形外科病院の患者がメインターゲットとなる薬局が買収する事例。
廃業を検討しつつ買収先を探していたところ、M&A仲介業者が買収先を見つけてくれた。
仲介業者が情報を入手し手続きを進めてくれているので、地域経済の発展だけでなく、既存の患者が遠くに足を運ぶ必要がないため、地域にも大きな貢献をしていると言える。

上記の事例では、買収先を斡旋した仲介業者へ支払う手数料を補助する専門家活用事業を利用しています。

自分が事業承継を行う際のイメージを具体的に書き起こし、どのタイミングで補助金が利用できるかを想像してみると分かりやすいでしょう。

事業承継・引継ぎ補助金を利用する際の注意点

日本では、地域の活性化と技術の損失を防ぐため、事業承継に力を入れている傾向です。

そのため事業承継・引継ぎ補助金は非常に利用しやすい補助金ですが、注意点もあるので事前に確認しておきましょう。

①電子申請システムのアカウント取得に時間がかかる

先程も紹介した通り、事業承継・引継ぎ補助金は電子申請のみで受け付けています。

電子申請システムのアカウント取得にかかる時間は1~2週間。

申請期限の数日前に申請を決めても、アカウントの取得が間に合いません。

事業承継を決めた段階で、gBizIDプライムのアカウント取得だけは素早く行っておきましょう。

補助金の申し込みは年に何度か受け付けていますが、申込が遅れるとその分交付も遅くなります。

金銭的な面で余裕がない人は、なるべく早く準備を開始してください。

②申請期限が各事業ごとに違う

事業承継・引継ぎ補助金は全部で3つの類型に分けられると紹介しました。

各事業ごとに、申請期間が異なるので注意してください。

類型 申請期間
経営革新事業 令和4年度第1回終了、次回未定
専門家活用事業 2022年4月22日~5月31日17時まで
廃業・再チャレンジ事業 2022年4月28日~5月31日17時まで

特に経営革新事業は締切が早く設定されています。

いずれも第2回目の公募期間はまだ発表されていないので、こまめに公式サイトをチェックしてください。

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