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生活保護を受給するための4つの条件を解説!申請方法や金額の計算方法も紹介

「病気で働けない」「失業した後で次の働き先がなかなか見つからない」などの理由で生活が苦しくて、生活保護が受けられないかと考えている人もいるでしょう。

生活保護は国民の権利で困ったときに活用できる制度ですが、利用するには条件を満たしていなければいけません。

条件があるために、自分が申請していいか不安に思うという声も聞かれます。

今回は生活保護を受給するための4つの条件を解説した上で、生活保護の申請方法や受給金額の計算方法も紹介します。

生活保護の申請をしていいか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

目次

生活保護を受給するための4つの条件を解説

生活保護を受給するためには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。

生活保護を受給するための4つの条件
  • 活用できる資産がない
  • 病気や怪我などの理由があって働けない
  • 生活保護以外に受けられる公的支援がない
  • 身内からの支援が受けられない

全ての条件を満たした上で、収入が最低生活費に満たない場合に生活保護が適用されます。

最低生活費については、後ほど詳細を確認しましょう。

それぞれの条件について、内容を紹介します。

活用できる資産がない

生活保護を受給できるのは、売却して生活費に充てられる、活用可能な資産がない人です。

活用できる資産とは、以下のようなものを言います。

活用できるとみなされる資産
  • 生活に利用していない土地や家屋
  • 自動車
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 自動車
  • 宝石や美術品など高額で価値のある物

売却すれば生活費に充てられるような価値のあるものが、資産とみなされます。

ただし生活を送る上で欠かせないと判断された資産は、売却せずにすむ場合があります。

例えば自宅として保有している不動産を売却すると住む場所がなくなり、生活が成り立ちません。

住宅ローンが残っている場合は売却が求められますが、ローンが終わっていれば自宅に住み続けられます。

自動車も「公共交通機関がなく通勤に必要」「求職活動のために使っている」などの理由で生活に欠かせないと判断されれば、売却する必要はありません。

病気や怪我などの理由があって働けない

生活保護を受けるには、病気や怪我などの働けない正当な理由が必要です。

働ける能力がある場合は、能力に応じて働かなければいけません。

働けない正当な理由の例を確認しましょう。

働けない正当な理由とは?

  • 病気にかかっている
  • 怪我をしている
  • 障害がある
  • 仕事を探しているのに採用されない

病気や怪我、障害など、本人が努力をしても働けない状態にある場合に、生活保護が認められます。

求職活動中で仕事が見つからない場合も、仕事が見つかるまで生活保護の受給が可能です。

働いていない人に限らず、働いているのに賃金が低く必要な生活費を得られない人も生活保護の対象者に含まれます。

生活を送る上で最低限必要な金額に足りない分の支給が受けられるため、働いている人も相談しましょう。

精神病も働けない理由に含まれる

生活保護の受給が認められる病気は、身体的なものだけではなく以下のような精神病も含まれます。

生活保護の需給が認められる病気
  • うつ病
  • 躁うつ病
  • パニック障害

入院している人に注目して見ると、以下のグラフのとおり精神や行動の障害が原因で生活保護を受けている人の割合が高い結果が出ています。

生活保護受給者の内訳を表す円グラフ
引用元:厚生労働省社会・援護局保護課│生活保護制度について

入院していない人の中にも、精神や行動の障害が原因で生活保護を受けている人が見られました。

精神障害でも生活保護が受けられる可能性があるのが確認できます。

生活保護以外に受けられる公的支援がない

生活保護以外に利用できる公的制度や受けられる公的支援がある場合には、生活保護は受給できません。

利用できる制度や支援の例を確認しましょう。

制度や支援の種類 内容
雇用保険 失業給付金などの給付金が受けられる
健康保険 一部自己負担した金額以外の療養費などが受け取れる
老齢年金 加入していた公的年金制度から老後の保証として給付される
障害年金 ・病気や怪我で生活や仕事が制限される場合に受け取れる
・世代に関係なく受給できる
遺族年金 年金制度の被保険者が亡くなった場合に被保険者によって生計を維持されていた遺族が受け取れる
児童扶養手当 親の所得が限度額を下回る場合に所得や子の人数に応じて支給される
職業訓練受講給付金 ・雇用保険が利用できない人が受けられる
・職業訓練が必要とハローワークに認定される必要がある
求職者支援資金融資 ・職業訓練受講給付金を受給しても生活費が不足する場合に受けられる
・融資なので返済する必要がある
生活福祉資金貸付制度 ・低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯を支える制度である
・融資なので返済する必要がある

利用できる制度がある場合は、制度の利用が求められます。

身内からの支援が受けられない

生活保護は「身内も生活に余裕がない」といった理由で身内による支援が受けられない場合に受給できます。

以下に挙げる身内に当たる人からの支援が受けられる場合は、支援を優先しなければいけません。

  • 両親
  • 配偶者
  • 兄弟姉妹
  • 祖父母

ただし身内がいるという理由のみで生活保護の受給が妨げられるわけではありません。

身内が可能な範囲で援助ができるか確認した上で、援助が難しければ生活保護が受けられるルールになっています。

生活保護でもらえる金額は?生活保護費の計算方法

生活保護でもらえる金額はどれくらいなのか、計算方法を紹介します。

生活保護の金額は一律ではなく、家庭の状況や住んでいる場所によって変化する仕組みです。

基本の計算方法を確認しましょう。

生活保護費の基本の計算方法

生活保護費の基本の計算方法は、【生活保護費=最低生活費-収入額】です。

生活保護費のイメージ図
引用元:厚生労働省│「生活保護制度」に関するQ&A

最低生活費は計算によって金額を算出できるもので、厚生労働大臣によって基準が定められています。

収入と照らし合わせて、最低限の生活を送る上で足りない金額が生活保護費として支給される仕組みです。

収入として扱われるのは就労による収入など

生活保護費を計算する上で収入として扱われるのは、以下のようなものです。

  • 就労による収入
  • 年金や児童扶養手当などの社会保障給付
  • 身内による援助

働いて得た収入や社会保障給付など、受け取れる金額を合わせて収入として計算します。

身内からの経済的な援助がある人は、援助として受け取っている金額も収入として扱われるルールです。

収入を合計して、最低生活費に足りない分が生活保護費として支給されます。

最低生活費の算出方法

最低生活費は厚生労働省によって提示されている算出方法をもとに計算した生活扶助基準に、以下の金額を足して計算します。

生活扶助基準に加算するもの
  • 障害者、母子世帯、児童を養育する世帯に対して加算される金額
  • 住宅扶助
  • 教育扶助
  • 介護扶助
  • 医療扶助

それぞれの金額の決め方を詳しく紹介します。

生活扶助

生活扶助とは日常生活に必要な費用をいいます。

具体的には以下のようなものの支払いに充てられる費用です。

  • 食費
  • 被服費
  • 水道光熱費

基準額は年齢別に算定する食費などの個人的費用と、世帯人数別に算定する水道光熱費などの世帯に共通した費用を合計した金額です。

以下のような特定の世帯には加算があります。

世帯の種類 加算される金額の範囲
障害者 15,380円~26,810円
母子世帯など ・児童1人で16,100円~18,800円
・児童2人で20,200円~23,600円
・児童3人以上は1人につき2,500円~2,900円加算
児童を養育している世帯 10,190円

住んでいる地域によって物価が異なるため、地域によっても基準額が異なる仕組みです。

住宅扶助

住宅扶助はアパートなどの家賃で、定められた範囲内で実際に支払っている金額が支給されます。

家賃が定められた範囲に達していない場合でも、必要な金額のみ支給される仕組みです。

支給が受けられる上限の金額は、住んでいる地域によって異なります。

詳細は地域の福祉事務所で確認しましょう。

教育扶助

教育扶助は義務教育を受けるために必要な学用品費や学級費などの費用です。

基準額を確認しましょう。

小学生 2,600円
中学生 5,100円
高校生 5,300円

正確に言えば、高校生の学費は生業扶助と呼ばれる費用から支出されるルールです。

必要に応じて以下のような費用の実費も支給されます。

必要に応じて支給される実費

  • 教材費
  • クラブ活動費
  • 給食費
  • 入学金
  • 郊外活動参加費

医療扶助

医療扶助は医療サービスを利用した際の費用です。

費用は医療機関に直接支払われる仕組みになっていて、生活保護を受給している人が自分で支払う必要はありません。

介護扶助

介護扶助は介護サービスを利用した際の費用です。

医療扶助と同様に費用は介護事業者に直接支払われる仕組みになっていて、生活保護を受給している人が自分で支払う必要はありません。

出産扶助

出産扶助は出産に関連する費用です。

病院で出産する場合は、入院に必要な費用も実費で支給されます。

出産扶助にも基準額がありますが、金額は明記されていません。

出産を予定している人は、ケースワーカーに相談しましょう。

生業扶助

生業扶助とは就労に必要な技能の習得に関連する費用です。

生業扶助の種類を確認しましょう。

生業費 事業を経営するための設備費、運営費、器具機械の購入費用
技能習得費 生業に就くための授業料や教科書代
高等学校就学費 高校に通おうための学用品費、授業料、教材代
就職支度費 就職に必要な洋服類、履物などの購入費

基準額の範囲で実費が支給されるので、必要に応じて問い合わせましょう。

葬祭扶助

葬祭扶助は生活が困窮していて葬祭を行えない場合に支給される費用です。

住んでいる地域や亡くなった人が大人か子どもかなどを元に、定められた金額が支給されます。

家族の人数別に計算方法の具体例を紹介

生活保護の最低生活費の計算方法を、具体例を挙げて紹介します。

生活保護費は住んでいる地域の級地によっても違うため、住んでいる地域も含めて確認しましょう。

地域の級地は厚生労働省のサイトで確認できます。

計算方法は厚生労働省の「生活保護における生活扶助基準額の算出方法(令和4年4月)}を参考にしています。

愛知県名古屋市に住む一人暮らしの30歳男性の最低生活費

愛知県名古屋市に住む一人暮らしの30歳男性の最低生活費を計算してみましょう。

愛知県名古屋市の地域の級地は「1級地-1」です。

生活扶助基準の計算は、厚生労働省の公式サイトに掲載されている以下の表をもとに行います。

生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法の画像
引用元:厚生労働省│生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和4年4月)

基準額の求め方には①と②の2種類があります。

【基準額①の求め方】
生活扶助基準(第1類+第2類)①×0.855
【基準額②の求め方】
生活扶助基準生活扶助基準(第1類+第2類)②

基準額①に0.855を掛けた金額と、基準額②のうち高い方が適用される仕組みです。

【基準額①】

(42,020円✕1+45,320円)✕0.855=74,675円

【基準額②】

47,420円✕1+28,890円=76,310円

計算の結果、基準額②の方が高いのが確認できました。

②の金額に「生活扶助本体における経過的加算」と呼ばれる加算を必要に応じて足します。

「1級地-1」に住む30歳の単身世帯の加算額は110円です。

76,310円+110円=76,420円

生活扶助基準は7万6千円程度で、住宅扶助や医療費などを加えた金額が生活最低費です。

兵庫県加古川市に住む30歳で6歳の子どもがいるシングルマザーの最低生活費

兵庫県加古川市に住む、30歳で6歳の子どもがいるシングルマザーの最低生活費の計算方法も確認しましょう。

兵庫県加古川市の地域の級地は「2級地-2」です。

世帯人数が複数の場合は、人数分の金額を足して計算します。

【基準額①】

(36,350円+30,750円)✕1+43,390円=110,490円
110,490円✕0.855=94,468円

【基準額②】

(43,770円+42,140円)✕0.8548+40,660円=114,095円

「生活扶助本体における経過的加算」を確認すると、「2級地-2」に住む2人世帯の場合は0円なので加算しません。

計算の結果金額が高いのは基準額②だとわかったので、母子世帯の加算額17,400円と児童を養育する場合の加算額10,190円を足します。

計算結果の14万円1千円程度が、生活扶助基準額です。

住宅扶助や医療費などの実費、教育加算などを足すと、最低生活費が算出できます。

青森県弘前市に住む40代前半の夫婦と10歳の子どもの3人家族の最低生活費

地域の級地が「3級地-1」の青森県弘前市に住む、40代前半の夫婦と10歳の子どもの3人家族の場合も確認しましょう。

【基準額①】

(32,680円+32,680円+29,160)✕1+45,600円=140,120円
140,120円✕0.855=119,802円

【基準額②】

(40,740円+40,740円+39,220円)✕0.7151+45,110円=131,422円

金額が高い基準額①をもとに計算を進めます。

「3級地-1」に住む3人世帯の場合「生活扶助本体における経過的加算」はありません。

児童を養育しているため10,190円の加算があり、生活扶助基準は15万円程度という結果が出ます。

北海道函館市に住む70代前半の夫婦2人の最低生活費

地域の級地が「2級地-1」の、北海道函館市に住む70代前半の夫婦2人の例も確認しましょう。

【基準額①】

(30,710円+30,710円)✕1+45,640円=107,060円
107,060円✕0.855=91,536円

【基準額②】

(41,840円+41,840円)✕0.8548+40,660円=112,169円

金額が高い基準額②で計算を進めましょう。

「2級地-1」に住む2人世帯の場合「生活扶助本体における経過的加算」はありません。

加算はないため11万2千程度が生活扶助基準になります。

生活保護の申請方法

生活保護の申請先は、住んでいる地域に設置されている福祉事務所です。

福祉事務所では、生活保護担当が相談を受けつけてくれます。

都道府県と市には福祉事務所の設置義務があるため、福祉事務所に出向いて手続きをしましょう。

町村には設置が義務付けられておらず、任意で設置が可能です。

福祉事務所が設置されていない町村では、町村役場に相談しましょう。

申請の際に必要な書類

厚生労働省の案内によると、申請の際に特別な書類の提出は必要ありません。

生活保護の申請にあたっては、必要な書類は特別ありませんが、生活保護制度の仕組みや各種社会保障施策等の活用について十分な説明を行うためにも、生活保護担当窓口での事前の相談が大切です。
引用元:厚生労働省│生活保護制度

生活保護を受けるなら、制度の仕組みや内容を理解していなければいけません。

いきなり申請するのではなく、福祉事務所に出向いて十分説明を受けた上で申請するか検討しましょう。

福祉事務所に出向いて相談すると、生活保護が受給できそうな状態かある程度判断してもらえます。

相談した結果、生活保護の申請をした方がよいと判断されたら、福祉事務所で生活保護申請書を受け取って必要事項を記入し、提出しましょう。

生活保護申請書を提出する際には、印鑑と本人確認書類が必要です。

生活保護の申請が終わったら、生活状況の調査が実施されます。

調査では世帯の収入や資産がわかる以下のような資料の提出が必要です。

  • 通帳の写し
  • 給与明細
  • 年金手帳

病気で働けない場合には診断書、障害がある場合は障害者手帳など、客観的に状況を示す書類があると説明がしやすくなります。

生活保護受給後の義務

生活保護の受給が決まった後には、果たすべき義務もあります。

生活保護は必要最低限の生活ができるよう支援を受けられる制度で、利用するには条件を満たしていなければいけません。

条件を満たしているか確認するためにも、以下のような義務が生じます。

  • 収入の状況を毎月申告する
  • ケースワーカーによる年数回の訪問調査を受ける
  • 就労の可能性がある人は助言や指導を受ける

生活保護を受けている人の申し出を元に保護費を計算するには、福祉事務所が収入の状況を把握している必要があります。

給与や身内からの支援の金額が変わる可能性があるなど、収入の状況は毎月一定とは限りません。

1回報告して終わりだと必要な保護費の計算ができないため、毎月の申告が義務付けられます。

ケースワーカーによる訪問調査を受ける必要があるのは、適切に生活保護を適用するためです。

一般的には年に数回ですが、生活保護を受給して間もない頃は頻繁に訪問があるなど、状況によって訪問の頻度が異なります。

適切な保護をする目的で指導や指示を受けた場合は、きちんと従いましょう。

働ける人は能力に応じて働くのが原則なので、就労の可能性がある人は助言や指導を受けます。

就職に関する支援も受けられるので、自分で活動をするよりも就職活動がスムーズに進むケースもあるでしょう。

生活保護の申請の流れ

生活保護は以下の流れで申請できます。

  1. 事前の相談
  2. 申請書の提出
  3. 福祉事務所による調査
  4. 調査結果連絡

それぞれについて詳細を紹介します。

事前の相談

先程書類に関して説明した部分でも紹介しましたが、以下のように厚生労働省が事前の相談の重要性について述べているので、まずは事前の相談に出向きましょう。

生活保護の申請にあたっては、必要な書類は特別ありませんが、生活保護制度の仕組みや各種社会保障施策等の活用について十分な説明を行うためにも、生活保護担当窓口での事前の相談が大切です。
引用元:厚生労働省│生活保護制度

生活保護の受給を検討している人は、住んでいる地域の福祉事務所に出向いて相談しましょう。

相談に行くと、生活保護制度の説明が受けられます。

説明の際には、生活福祉資金貸付制度や各種社会保障施策の活用についても検討される仕組みです。

相談に乗ってもらいながら、今後の対応について決めましょう。

相談した結果生活保護の受給が適していると判断されたら、申請の準備をします。

申請書の提出

生活保護の申請書は福祉事務所で受け取れます。

申請書に記載する必要がある主な項目は、以下の通りです。

  • 申請者の名前や連絡先
  • 世帯員の名前
  • 生活保護を受けたい理由
  • 援助してくれる人に関する情報
  • 不動産や預貯金など資産に関する情報
  • 収入に関する情報

生活保護を受ける場合、世帯人数や年齢によって基準となる金額が異なります。

保護費の計算や世帯の状況を確認するために必要な項目が調査されるため、確認してから記入しましょう。

福祉事務所による調査

保護申請書を提出したら、生活保護の受給が適切かどうかを見極める目的で福祉事務所による調査が実施されます。

調査の内容は以下の通りです。

  • 家庭訪問などによる生活状況を確認するための実地調査
  • 預貯金や保険、不動産など資産に関する調査
  • 身内による経済的な援助に関する調査
  • 就労や年金などによる収入に関する調査
  • 働ける可能性に関する調査

生活保護申請書に記入された内容に間違いがないか確かめるために、担当者が申請者の自宅を訪問して生活状況の調査を行います。

活用できる資産がないという条件を満たしているかを見る、資産に関する調査も重要な項目です。

家庭訪問を行った結果、活用できる資産が見つかるケースもあるため、実地での確認が欠かせません。

身内から支援を受けられる場合はそちらが優先されるので、援助が可能か確認が取られます。

生活保護費を算出するには、収入の把握が重要です。

本当に働けないのか就労の可能性に関する調査も実施されます。

調査結果連絡

福祉事務所による調査の結果をふまえて、生活保護を適用する必要があるか最終的な判断を行います。

原則として生活保護を申請した日から14日以内に回答が受け取れるので、連絡があるまで待ちましょう。

ただし調査に日時を要する特別な理由がある場合には、審査結果の連絡まで最長30日かかるケースも見られます。

長い場合で1ヶ月かかると、生活が成り立たないと不安な人もいるでしょう。

保護費が受け取れるまでの生活が成り立たない人は、社会福祉協議会による「臨時特例つなぎ資金貸付」が受けられるケースもあります。

「臨時特例つなぎ資金貸付」については後ほど詳しく確認しましょう。

生活保護を申請するにあたって知っておきたい知識

生活保護を申請するにあたって知っておきたい知識は、以下の6つです。

生活保護申請時に知っておきたい知識
  • 同居していない親族に相談しなくても申請できる
  • 住むところが無くても申請できる
  • 持ち家があっても申請できる
  • 必要な書類がなくても申請できる
  • 求職中でも申請できる
  • 生活保護の開始までに「臨時特例つなぎ資金貸付」が利用できる場合がある

生活保護は憲法に定められた権利で、困っている時は迷わず申請が可能な資金です。

生活保護は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化したもの。恥ずかしいこと、隠さなければいけないことでもありません。資産や能力を活用しても、生活を維持できないとき、権利行使として生活保護を利用できるのです。
引用元:日本弁護士連合会│Q&A今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?

しかし誤解されている部分もあり、厚生労働省もよくある誤解について注意喚起をしています。

厚生労働省が言及している内容もふまえながら、生活保護に関して知っておきたい知識を詳しく紹介します。

参考:厚生労働省│生活保護を申請したい方へ

同居していない親族に相談しなくても申請できる

生活保護を申請する場合、同居していない親族に相談しなくても申請できます。

「身内から援助が受けられない」というのが生活保護を受ける条件の1つなので、相談してから申請しなければいけないと誤解されがちです。

申請書を提出した後の調査で援助の可否の確認が実施されるため、事前に相談しなくても申請できます。

住むところがなくても申請できる

生活保護は住むところがなくても申請可能です。

施設に入らなければ申請できないわけでもなく、一時的に紹介される宿泊所を利用できるといった対応をしてもらえる場合もあります。

宿泊所を利用しているうちに就職先が決まれば、転居も可能です。

住むところがない状態で生活保護の利用を検討している人は、今いる場所の近くの福祉事務所に相談しましょう。

持ち家があっても申請できる

生活保護は持ち家があっても申請可能です。

持ち家を売らなければいけないと思っている人も見られますが、住居として利用している自宅を売却すると住む場所がないことから保有が認められるケースも。

ただし住宅ローンが残っている持ち家は、売らなければいけない可能性が高いと言えます。

生活保護費はローンの返済には利用できません。

ただしローンの残額が少額の場合は保有が認められる場合もあるため、相談してから判断しましょう。

必要な書類がなくても申請できる

必要な書類が揃っていない場合でも、生活保護の申請は可能です。

生活保護の申請時には特別な書類は必要なくても、申請後に行われる調査に必要な書類は用意しなければいけません。

書類がない場合でも相談に乗ってもらえるため、諦めずに申請しましょう。

求職中でも申請できる

生活保護は求職中でも申請が可能です。

働ける能力があるため申請できないと思われがちですが、仕事を探しているのに見つからない場合は仕事が見つかるまでの間生活保護を受けられる可能性があります。

生活保護以外にも、月10万円の生活支援給付金を受けながら無料の職業訓練の受講が可能な「求職者支援制度」を利用するのも1つの方法です。

生活保護の相談をすれば必要な支援を案内してもらえるので、まずは相談しましょう。

生活保護の開始までに「臨時特例つなぎ資金貸付」が利用できる場合がある

生活保護が開始されるまでの生活が成り立たない人は「臨時特例つなぎ資金貸付」が利用できる場合もあります。

以下の条件を満たしていれば、制度の利用が可能です。

  • 住居のない離職者である
  • 公的給付制度や公的貸付制度の申請が受理されている
  • 本人名義の金融機関口座を持っている

利用するには生活保護の申請が受理されている必要があります。

借りられる金額は10万円以内で、連帯保証人は必要ありません。

「臨時特例つなぎ資金貸付」は無利子で借り入れができる資金です。

生活保護を受ける上での注意点

生活保護を受ける上で注意したいのは、以下の2点です。

  • 申請前にローンは返済しておく
  • 最低生活費以上の収入がある場合は生活保護ではなく公的融資を検討する

両者について詳細を紹介します。

申請前にローンは返済しておく

生活保護の申請をする人でローンの返済が終わっていない人は、申請前にローンを返済しなければいけません。

生活保護費は必要最低限の生活を保障する性質のお金で、生活に欠かせない食費や家賃などに充てるものです。

抱えているローンの返済には回せないルールで、申請前にローンを返済しておく必要があります。

とはいえ生活保護を検討するほど困窮している人がローンを返済するのは、容易ではありません。

身内に援助してもらうなどの方法が選べない場合は、自己破産も検討しましょう。

自己破産とは裁判所に借りたお金の返済が難しいと認めてもらう、公的な手段です。

ただし自己破産にも費用がかかります。

費用に関して不安がある場合は、国が設立した法的トラブル解決のための案内所である法テラスに相談しましょう。

返済の義務がなくなれば、生活保護の受給も可能です。

最低生活費以上の収入がある場合は生活保護ではなく公的融資を検討する

最低生活費以上の収入があって生活保護が申請できない場合は、公的融資を検討しましょう。

公的融資制度にはいくつかの種類がありますが、利用しやすいのは以下の2種類です。

生活福祉資金貸付制度 ・低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象とした融資制度
・利子は無利子または年1.5%
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 ・20歳未満を扶養しているひとり親家庭を対象とした融資制度
・利子は無利子または年1.0%

融資制度を利用したい場合は、社会福祉協議会や市町村役場で相談できます。

生活保護の申請が通らないときに考えられる理由

生活保護を申請したのに申請が通らないときに考えられるのは、以下のような理由です。

  • 働けると判断された
  • 福祉事務所の調査に協力しなかった
  • 雇用保険や年金などほかに受けられる給付がある

それぞれについて確認しましょう。

働けると判断された

生活保護申請書の提出後に行われる調査によって働けると判断された場合は、「働けない」という条件に合わず生活保護の申請が通りません。

生活に困っている人が「働けない」と感じている理由は様々ですが、方法を選べば病気や怪我をしていても働けるケースもあります。

福祉事務所で相談した結果、働ける可能性がある場合は、支援を受けながら仕事を探しましょう。

福祉事務所の調査に協力しなかった

生活保護を受給するには、生活保護申請書の提出後に行われる福祉事務所の調査に協力する必要があります。

例えば担当者が自宅に調査に来るのを拒んだとしたら、担当者に資産を隠しているのかもしれないと疑われるでしょう。

調査では収入や年金の受給額が確認できる書類などの提出も求められます。

必要な書類を提出しなければ、担当者は収入に関する調査が続けられません。

判断に必要な材料が揃わないと調査がスムーズに行えず、結果として生活保護の受給が認められなくなります。

福祉事務所の調査にはきちんと協力しましょう。

雇用保険や年金などほかに受けられる給付がある

雇用保険や年金など、生活保護以外に受けられる給付がある場合は給付が優先されます。

「生活保護を受給するための4つの条件を解説」の部分でも紹介したように、以下のような給付が受けられる場合は給付を受けましょう。

  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金
  • 児童扶養手当
  • 職業訓練給付金

給付を受けても生活を成り立たせるのが難しい場合には、あらためて相談しましょう。

生活保護の申請が通らなかった場合の対策法

生活保護の申請が通らなかった場合に考えられる対策法は、以下の通りです。

  • 仕事を探す
  • 生活保護を再申請する

両者について確認しましょう。

仕事を探す

働ける状態にあると判断されて生活保護の申請が通らなかった場合は、仕事を探すのが効果的です。

実際に働ける状態なのに仕事が見つからない場合は、仕事を探す方法を変えると就職先が見つかる可能性もあります。

ハローワークや求人情報誌、求人サイトなどを活用しても仕事が見つからない場合、仕事探しのサポートをしてくれる窓口の利用も可能です。

都道府県に設置されている社会福祉協議会に相談すると、生活困窮者自立支援制度によって相談支援や就労支援が受けられます。

生活保護を再申請する

生活保護を受けられる正当な理由があるのに申請が通らなかった場合は、理由として考えられることを改善した上で再申請する方法があります。

原因と対策法を確認しましょう。

原因 対策法
働けないのに働けると判断された 診断書を提出する
求職中なのに仕事がなかなか見つからない ・仕事を探しているが見つからないと説明する
・求職活動の記録を見せる
返済できていないローンがある 自己破産を検討する

病気によっては見た目だけでは判断できず、働けないのに申請が通らなかった例も見られます。

診断書があれば考慮してもらえるので、誤解された場合は診断書を提出した上で再申請しましょう。

求職中で生活に困窮している場合は、求職者支援制度の活用も視野に入れる必要があります。

制度を利用しても生活が成り立たない場合は、仕事が見つかるまでの期間、状況に応じて生活保護の受給も可能です。

仕事がなかなか見つからないとわかってもらえるように、説明したり記録を見せたりしましょう。

生活保護費はローンの返済には充てられないため、審査に通らない原因になる場合も。

自己破産して返済を免除してもらえれば、生活保護が受けられる可能性があります。

申請前に知っておきたい生活保護のデメリット

生活保護の受給には以下のようなデメリットもあります。

生活保護受給のデメリット
  • 必要最低限の生活をする必要がある
  • ケースワーカーの指導を受けなければいけない
  • 収入を報告しなければいけない
  • お金が借りられない

デメリットを知った上で、受給を検討しましょう。

必要最低限の生活をする必要がある

生活保護は憲法に定められている必要最低限の生活を保障する目的の制度のため、生活保護を受けている人は必要最低限の生活をする必要があります。

ブランド品などの高額な商品の購入や、高額の預貯金などは認められていません。

食費や光熱費など、生活に欠かせないものにお金を使いましょう。

ケースワーカーの指導を受けなければいけない

生活保護を受給している人は、ケースワーカーの指導を受けなければいけません。

世帯の実態に応じてケースワーカーが年数回の訪問調査を行うルールになっていて、生活の維持向上に必要だと思われる場合は指導が行われます。

スムーズに生活保護を受給するためにも、指導があれば従いましょう。

収入を報告しなければいけない

生活保護を受けている人は、毎月収入を報告する必要があります。

生活保護費は収入があっても最低生活費に足りない分を支給する制度で、収入額がわからなければ保護費の計算ができません。

年金や就労による収入など、得た収入はきちんと報告しましょう。

お金が借りられない

生活保護はローンの返済には利用できません。

生活保護の受給が決まった後でお金に困っても、借り入れができない点は知っておく必要があります。

どうしても困ったときには、ケースワーカーに相談すると事情に応じて一時的に保護費を引き上げてもらえる場合があるため、相談しましょう。

生活保護を申請する時点で住宅ローンやマイカーローンなどのローンが残っているなら、自宅や車を売却しなければならない可能性もあります。

生活保護に関するよくある質問と回答

生活保護に関するよくある質問に対して、回答を紹介します。

生活保護に関して疑問がある人は、ぜひ参考にしてください。

生活保護を受けている人はどれくらいいる?

令和3年4月に厚生労働省から発表された情報によると、令和3年1月時点で生活保護を受けている人は以下の通りです。

生活保護を受けている人 200万人程度
生活保護を受けている世帯 160万世帯程度

参考:厚生労働省│生活保護の被保護者調査(令和3年1月分概数)の結果を公表します

生活保護を受けている人の数は減少傾向にあり、前年の同月と比べると0.9%減少しています。

世帯数で見ると、前年の同月と比べて0.2%増加しました。

保護を受けている世帯の種類では、高齢者世帯が90万世帯程度と多く見られるのが特徴です。

次に多いのが障害者世帯と傷病者世帯で、時期によってどちらが多いかが異なります。

障害者世帯と傷病者世帯の世帯数はそれぞれ20万世帯程度です。

高齢者だと生活保護の条件が違う?

高齢者でも生活保護の条件は変わりません。

どの世代の人も同じルールで生活保護が適用されています。

高齢者の場合、年金を受給している人が多いでしょう。

受給している年金は収入として扱われ、必要最低限の生活に不足している分だけ生活保護の支給が受けられます。

生活保護費を29万円も受けている人がいるって本当?

生活保護費を29万も受けている人がいるというのは、2013年の新聞記事の内容に基づいた情報で事実です。

ただし住んでいる地域などの関係もあり、生活保護を受けている人全員が29万を受け取っているわけではありません。

計算上無理ではありませんが、ほとんど見られないケースです。

生活保護自体はあくまで最低限の生活を保障する制度なので、高額の保護費が受け取れるとは考えない方がよいでしょう。

参考:J-CASTニュース│月29万円の生活保護でも苦しい 2児の母が訴える朝日記事に疑問噴出

生活保護受給中にしてはいけないこととは?

生活保護受給中にしてはいけないことの例は、以下の通りです。

  • 高額の預貯金
  • 貯蓄性の保険への加入
  • 投資
  • 借り入れ
  • 高額な商品の購入

生活保護は生活が成り立たない人に対して必要最低限の生活を保障する目的の制度です。

制度の性質上、必要最低限以外のお金は使えません。

家具や家電の買い替えなどに備えての一定の預貯金は認められますが、高額の預貯金をすると資産として扱われます。

貯蓄性の保険への加入や投資も同様です。

生活保護で受給したお金は、借り入れの返済には使えません。

返済に回せないため、借り入れもできないという判断になります。

ブランド品などの高額な商品の購入も、必要最低限の費用とは言い難く認められません。

外国人は生活保護を受けられる?

生活保護は国民に対して行われる保護なので、原則として外国人は生活保護を受けられません。

ただし以下のような状況にある場合は、生活保護が適用される場合があります。

  • 永住者である
  • 特別永住者である
  • 日本人の配偶者がいる

生活保護の内容は、日本人と同等です。

国の通達に基づいて、地方公共団体が生活保護を実施しています。

参考:広島市│外国人への生活保護について

国からの給付金は収入として扱われる?

たとえば新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う給付金など、国からの給付金は生活保護で言う収入としては扱われません。

給付金は困難な状態に直面している人の支援を目的として給付されます。

支援のためのお金なので、税金は必要ありません。

「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」を例に内閣府の見解を確認すると、「生活保護制度の収入認定では収入として認定されない」と明記されています。

参考:内閣府│住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金に関するよくあるご質問

生活保護を不正受給するとどうなる?

生活保護を不正受給すると、受給した保護費の全額または一部を返還しなければいけません。

不正受給とは以下のような状態を言います。

  • 収入を得ているのに申告していない、虚偽の申告をしている
  • 資産を保有しているのに申告していない、虚偽の申告をしている
  • 福祉事務所に届け出ている人以外の人と同居している

場合によっては、受け取った金額以上の返還を求められるケースもあります。

都道府県や市町村の長の判断によっては、返還を求める金額の40%以下の徴収も可能です。

不正受給があると、生活保護の変更や停止、廃止も行われます。

悪質な案件だと判断されれば警察へ告訴される場合あるので、不正受給はやめましょう。

「就労自立給付金」はどんなときにもらえる?

「就労自立給付金」とは、以下のような理由で生活保護を必要としなくなった世帯に給付される給付金です。

  • おおむね6ヶ月以上雇用されて生活に必要な収入が得られると認められた
  • 事業を始めて必要な収入が得られると認められた
  • すでに働いている人の収入が増えて生活が維持できる額になった

給付される金額は単身世帯で10万円、複数の世帯員がいる場合で15万円です。

生活保護が不要になった直後は、税金や社会保険料などの負担が生じて生活が不安定になる可能性も。

不安定な時期の生活を支え、再び生活保護を受けなければならない状態になるのを避ける目的で「就労自立給付金」が給付されています。

生活保護制度の条件を理解して必要に応じて申請しよう

生活保護は憲法に定められている必要最低限の生活を制度化したもので、生活に困窮している人には申請する権利があります。

とはいえ無条件で利用できるわけでもありません。

「働けるなら仕事を見つけて働く」「活用できる資産は活用する」などの条件を満たした上で、生活が成り立たない場合に申請が可能です。

生活保護を受給するなら、毎月収入を報告するなどの義務も伴います。

生活保護の条件や内容を理解した上で、必要に応じて申請しましょう。

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